160m受信用スモール・ループ・アンテナ 製作記   (2008年11月6日建設)

 

160mを運用する様になって2シーズン目に突入しましたがまだまだ初心者なのでこのバンドの特性は良く解りません。160mを本格的に運用しているローカル局もおらず、情報は主に160m関係のウェブサイトを探して収集しました。とりあえず1年目の昨シーズンは出来るだけ早起きするよう努力してワッチに努めましたが、その日その日によってコンデションの差が実感出来ました。これは6mにも言える事ですがコンデションが良かった翌日が必ずしも良いという訳でもなく、何にも聞こえないという日が何日もありました。(もちろんこれはコンデションだけの要因ではなく、私の受信設備に起因するところも大きい) まだ2年生の私が言うのは生意気かもしれませんが、そうそう簡単に行かないところに160mの面白さの入り口を見た様な気がします。

最初はスローパーで受信していましたが、WW-CWコンテストの時に7MHzのロータリーDP(ミニマルチのR401DX、全長13.8m)で受信するとS/Nが格段に良くなり聞き易くなる事に気が付きました。(もう少し気が付くのが早ければ3B7Cも出来ていたかもしれません...) こんなアンテナでも69エンティティーとQSOする事が出来ました。(2008年11月3日現在)

しかし、やはり専用の受信アンテナを試してみたいという欲求にかられ、何とか我が家のスペースにも建てられ多くの方が使用されているスモール・ループ・アンテナの製作を思い立ちました。ビバレージ・アンテナが張れる恵まれた環境の方もたくさん居ますが、自分の今の環境で出来る範囲で試行錯誤しながら楽しむのもまたアマチュア無線の面白さでしょう。思い立ったのは昨年のシーズンが終わった頃なのですが、なかなか重い腰が上がらず少しずつ材料集めだけはしていました。使い物になるかどうか判らないのでなるべく安く仕上げる事を目標にしました。

ハムジャーナルやCQ誌、さらにはJE1LFX、清水OMの紹介でJA7IC、柳沼OMから送って頂いたOMの製作されたスモール・ループ・アンテナの写真等を参考にして少しづつ製作を開始したのが9月に入った頃でした。両氏にはこの場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

まず、安く仕上げるために、十字の支柱には竹を使用しました。垂直部は4mの竹(元径は約30mm)、水平部はVP20の塩ビパイプ(50cm)の両端から2mの竹を差し込んで全長290mmに合わせました。ホームセンターで塩ビパイプも立ててみましたが、しなりも重さも竹に比べるとかなり大きかったです。竹にはビニールテープを巻いて気休めに劣化防止を施しました。十字部分には手持ちの小さいクロスマウントを使用し、垂直の竹のマウント部分には塩ビパイプ20cm程を縦半分に割って(カマボコ型)補強のためにかませました。

  

ワイヤーには外径2.5mmの被服銅線を使用。6cmの間隔にするために竹の先端に写真の様なプラスチックのパイプを貫通させステン針金で縛りエポキシ接着剤で固定しました。

ワイヤーの間隔を6cmにするため写真の様に自在ブッシュで固定。

マッチング・ボックスにつながるワイヤー部分。1辺、約2mのワイヤーは各4ヶ所(40cm間隔)を自在ブッシュで6cm間隔に固定。

完成したループ・アンテナ。意外と大きいですが片手で持てるくらい軽量。本当は下で嫁さんが支えていますが画像処理、Hi。マッチング・ボックスは100円ショップのタッパに手持ちの450pFの2連バリコンとT106-6のコアでトロイダル・コイルを作り取り付けました。

11月3日、天気が良かったのでローカルのJH9VMK、山口さんの協力で仮設をして調整をしましたがSWRが3から下がりません。そこでリンク側にもバリコン(エレメント側のエア・バリコンをリンク側に使用し、リンク側には4連ポリバリコンを並列にして使用)を追加して、トロイダル・コアの巻き数を26回から27回(約13μH)にしてみたところSWRが約1.1(1.817MHzで)まで下がりました。(山口さん、VY TNX!)

竹の支柱には約2mのアルミパイプを2本つないで(4m弱)1階の屋根に建て、マストベアリング(ローカルのJA9RBZ、佐野さんからの頂き物。VY TNX!) を固定出来る金具をLアングルで作り2階の屋根の鴨居に取り付け、手持ちのローテーターで回転出来る様にしました。また、自作のデベリングもどきで竹の根元から3方向にステーを張って強度を持たせ、風が強くなったらボルトを外して中のアルミパイプを下げられる様にしました。

11月6日、天気が良く次の日から雨が降る予報でしたので8時から建設開始。と言ってもアルミパイプに突っ込んで調整してステーを張るだけです。調整は前もって粗調整をしていましたのでそれほどずれてはいませんでした。2時間程で終了。高さ(竹の先端部)は約12m。ローター、同軸の引き込み処理は夕方に行いました。

1.810MHz=2.3 、 1.815MHz=1.25

1.817MHz=1.1 (ボトム) 、 1.820MHz=1.35

1.825MHz=2.2 、 1.830MHz=3.6  雨や雪が降るとSWRがどの様に変化するのかはまだ判りません。

 

写真の様にTS-950SDXには受信専用のアンテナ端子が無いので切り替えはとりあえず手動です。FT-1000MK5には付いていますが、エキサイターはTS-950SDXで申請してあるので..。(最近、巷の噂ではエキサイターを替えても検査無しの申請だけでOKとか言う話もあるので総通で聞いてみようと思います)

北陸総合通信局にエキサイターの件を聞いてみたところ、やはり変更検査が必要との事でした。某誌に載っていた関東での事例を出してみましたが承知していないとの事でした。(11月7日)

KENWOODサービスに問い合わせたところ、受信アンテナを接続出来るみたいです。ただしリレーで送信時にはアースに落とす様な細工が必要との事でした。

ただMK5はセットノイズが高く、今の所は950で使用するつもりです。切り替えを間違えて送信すると大変な事になりますが、昨年1年間で十分慣れたつもりです。(最初の頃は切り替えを間違えて7MHzのRDPで送信してしまいヒヤっとした事もありました、Hi)

同軸リレーも考えましたが何分高価なので..。

 

 

 

 

材料費は手持ちの部品を使用したのでかなり安く済みました。ホームセンターで買ったのは4mの竹=400円、2mの黒竹=250円 X 2本で500円、プラスチックのパイプ2本で250円、ワイヤー線が1m=35円 X 18mで630円、ボルト、ナット類で500円程です。他に、トロイダル・コア(T106−6)=550円。マッチング・ボックスのタッパやステーのロープは100円ショップで買いました。全部で3,000円程だと思います。(アルミパイプや塩ビパイプ、クロスマウント、マッチンク・ボックスの部品は手持ちの物を使用)

回転させるとノイズが減るポイント(ヌル点)も確認出来ました。スローパーに比べたらノイズが全然少ないです。また7MHzのRDPに比べたらかなりゲインがあるようです。使用感はおいおい書いてみたいと思います。昔作った6mのクワッドの様に雪で大破するかもしれませんが..、Hi。

 

使用感

11月6日の夜、UA0LEが出ていたので初めて聞き比べをしてみました。さすがに近場なのでスローパー、7MHz-RDP(以降RDP)、スモール・ループ(以降ループ)でも良く聞こえていました。ただ今まではRDPで聞く時はTS-950SDXのAFゲインを最大にして聞いていました。(ゲイン不足で最大にしないと聞こえない) しかし、ループではAFゲインは9時方向辺りでも良く聞こえて来ます。W8JIも聞いてみましたがスローパーでは全くNG。RDPではゲイン不足でAFゲイン最大でQSBのピークで何とか聞こえる感じ。さてループですがゲインが大きいのかRDPに比べるとS/Nが悪くATTを入れて聞いてみます。ローターで回転させると僅かに信号が浮くポイント(ノイズが減るヌル点)がありますがRDPとの差は微妙でもう少し聞き比べをしてみる必要がありそうです。

11月7日の朝、この日は目が覚めたのがもう日の出過ぎの6時30分..。A43DLHのレポートが上がっていたので聞いてみました。小雨模様でノイズレベルが高いです。スローパーではノイズで全くNG。RDPでは聞こえます。(AFゲインは最大) ゲインが無いせいかS/Nが良いので聞き易い。ループではゲインが有る分S/Nが悪くATTを入れて丁度良い感じ。EY8MMも聞きましたがローターで回転させたらヌル点でノイズが減ったせいなのか信号がグッっと浮いて聞こえるポイントがあってちょっと感動。RDPで聞こえにくくなってもループでは弱ーく聞こえていたので少し期待が持てました。

 

11月8日、何故か1.817MHzから1.814MHzでSWRが最小(1.1)に変化したので、朝から再度調整をして1.819MHzで1.1にしました。

 

 

 

 

 

 

11月9日、帰宅したのが午前2時。夕方しばらく寝たので余り眠くありません。しばらくしたらT30XXのレポートが上がったので急いでクランク・アップ。RDPとループとの聞き比べには絶好の機会ですが、ニューなのでそんな余裕もなくとりあえずRDPで受信しながらコール。UP2.5〜3KHzで拾っている様ですがQSBがあって1回目のリターンが判らずに、2度目のコールバックで自分に返って来た事が判りQSO成立。その後はゆっくりと聞き比べをしてみました。アンテナを回すと信号が浮き上がるポイントがある様です。(歴然とは変わらないが..) RDPと比較したら明らかにループの方が良く聞こえていました。初めからループで受信していたら1回でQSO出来たでしょう。

一応録音しました。(TS−950SDX、AFゲインは12時方向、AF-DSPのTDF−500使用) CQの後でコールサイン(T30XX)を2回打っていますがループで受信しています。その後RDPに切り替えましたが出ているのか不明です。ただRDPでは明らかにこれよりは弱いです。(聞き比べになってませんね..、Hi またチャンスがあったら聞き比べの録音アップしたいと思います)

11月15日、夕方18:20JST。K7CAがFBに聞こえてたのでループとRDPと聞き比べしました。(TS−950SDX、AFゲインは12時方向、AF-DSPのTDF−500使用) 最初の部分「AGN」の途中でRDPに、また後半は「559」のレポート部分の途中からRDPに切り替えています。後半の「BK」はまたループに切り替えています。

http://f1.aaa.livedoor.jp/~kiyoyuki/82.htm

 

2009年10月7日の台風18号で無残にも竹の支柱がポッキリと折れてしまいました。幸い支柱だけを交換して直ぐに復旧しました。

2010年1月13日の大雪と強風でまたまた竹の支柱が御覧の通り..。着雪で負荷が大き過ぎたか。前回同様、竹にクロスに穴を開けてプラスチックのパイプを通している箇所で折れているので次回は塩ビパイプか何かで補強しないといけない。

 

2010年1月24日に復旧。今回は折れた箇所を塩ビパイプで補強。SWRも1.825MHzで1.1に調整しました。

 

 

 

 

 

 

 

2010年12月3日の台風並の暴風で竹の支柱がまたまた折れてしまいました。これで3度目です、ガックリ...。前回塩ビで強化した直ぐ上で断裂していました。

 

天気予報では12月5日、6日の両日は天気が良く、7日以降は雨模様との予報。予報とおり5日は快晴で暖かい。北陸の冬にはめったに無い天気。早速、修理に取り掛かかりました。多少トップ・ヘビーになるものの、今回は支柱をアルミパイプと塩ビパイプで補強して、マッチング・ボックスも壊れたので新品に交換しました。

雨や雪が降ると同調点が下がるので、SWRも今回は少し高めの1.8285MHzで1.1に調整しました。