ELECRAFT K1 製作記

 

K1とはアメリカのELECRAFT社から販売されている5WのCW専用HFトランシーバー・キットです。同じELECRAFT社から販売されているK2の弟分といったところでしょうか。 日本での代理店はK2と同じエレクトロデザイン(株)です。

標準は6バンド(80m, 40m, 30m, 20m, 17m, 15m) の中から好きな2バンドを選択できます。4バンド仕様もありますが、とりあえず移動専用機にするつもりなので7/10MHzの2バンドにしました。それでも日本語マニュアルを含めると中古のIC-703が買えそうな値段になります。それなら何故1.9〜50MHzまでのオールバンド・オールモード、DSP、オート・アンテナチューナーまで付いたQRP専用機のIC-703にしないのか不思議に思う方もいるかもしれません。実は自分でも良く解らないんです。K1、K2症候群とでも言いますか、K2があるのにまたK1まで欲しくなってくる..。やはり一番の理由は自分で作ったリグでの交信はやった者にしか解らない魅力があるといったところでしょうか。

今回も衝動買いではありません。K2完成後スクリーン・セーバーをK1に替えて数ヶ月、じっくり考えてもやはり魅力のある商品でした。早速在庫の確認をして注文しました。振込み伝票も一緒にFAXしたらその日のうちに発送してくれて翌日には商品が届いていました。

 

 2003年11月11日

K1到着。本体の箱はK2と高さが2cm小さいだけのサイズでした。(約 31 x 23 x 6cm)  シリアル#は「01706」でした。

K2同様、本体の部品を出して並べてみました。K2に比べるとたいした数ではありませんが作りごたえはありそうです。マニュアルは英語と日本語の2冊です。日本語マニュアルは別売りですが70数ページとK2の約1/3です。右はシンプルなデザインながらK2の弟分といった感じのフロント・パネル。思った以上に小さかったです。

しばらくは日本語マニュアルを読みながらK1購入の余韻に浸っていたいと思います。

 2003年11月14日

 フィルター基板

まず、2バンド(40/30m)のフィルター部分を製作します。部品数はそんなに多くありませんがトロイダルコア巻きが4つあります。30m用のパーツのコンデンサー(270pF)が2つ多く入っていました。トロイダルコアに巻く線の被服は小型バーナーで溶かしてから紙やすりで剥がしました。ここをきれいに剥がさないと故障の原因になる事が多いそうです。製作時間は約2時間30分

 

 2003年11月15日

 フロント・パネル部

いったん作り始めると一気にやってしまわないと気が済まない性格で、昨日に続いてフロント・パネル基板に取り掛かりました。これも部品数はさほど多くありません。抵抗のR19(100K)が日本語マニュアルに書かれていません。(英文マニュアル、回路図には書かれている) ここは英文マニュアルに従ってR19も取り付けました。また、日本語マニュアルでは集合抵抗の品番がL83C104となっていますがL83C102の間違いです。発光ダイオードもスペーサーで間隔を調整してからハンダ付けします。LCDは壊れやすいので十分注意しながら取り付けます。

220オーム、100Kオームの抵抗が余りました。220オームの方はテープ止めされている抵抗の途中に入っていましたが、パーツ・リストに書いてありません。カラー表示を見ずにただ順番に取り付けると途中でずれてしまいますので注意が必要です。私はテスターで一本一本確認していました。(ただ、既にこれは修正されているかもしれません) 抵抗値確認も取り説通りの値でした。製作時間は約3時間。

 

 2003年11月16日

 RF基板、パートT(その1)

今日はあいにくの天気なのでまたまた製作開始。RF基板(約13X13cm)を取り出してしばし眺めます。初めに部品を仕分けしますが、さすがに今までの基板と違って多い! 数も多く、形も似ているフィルム・コンデンサーを定数ごとに分けてスポンジに挿しておくと後でハンダ付けする時に楽です。(ルーペがあると見易い) パートTでは主に受信回路とVFO回路を作っていきます。

抵抗、コンデンサーをひたすらハンダ付けしていきます。K2を作った事があるのでこの数の多さにも驚きません。集合抵抗は丸印(or縦線)のシルク印刷を1番ピンに合わせます。2本づつあるガラス封入ダイオードの品番はルーペで確認しないと判りません。後は特別難しい所はありませんが、今回はICの向きも何度も確認しながら取り付けました、ハイ。(K2製作でえらい目に遭いましたから..) 抵抗値確認、電圧確認も取り説通りの値でした。トロイダルコア巻きの前までで一応今日のところはおしまい。製作時間は延べ約5時間。

 

 2003年11月17日

 RF基板、パートT(その2)

 

2つのトロイダルコアをエナメル線の巻き数に注意して巻きます。エナメル線の被服は小型バーナーで溶かしてから紙やすりで剥がしました。基板にサイド・パネル、フロント・パネルを取り付けます。ここまででとりあえず「調整と試験、パートT」に進めますが、明日までのお楽しみにとっておきます。さて上手く動作するかドキドキです。製作時間は約1時間30分。

 

 

 

 

 

 2003年11月18日

 調整と試験、パートT

いよいよ第一段階の試験で初めて電源SWを入れます。マニュアルには「もし小さな煙や部品に触れてみて温かくなった場合は直ちに電源を引き抜きます。」と書いてあります。ドキドキしながらSWをON! LEDが点灯してマニュアル通りLCDに「E27」と表示されました。煙も出てきませんでした、ハイ。マニュアルに従ってサイドトーン、AF、キーヤー関連の動作確認をしましたが問題ありませんでした。

次に「VFOのの調整」に入ります。ここでVFOのカバー範囲を80KHzか120KHzか選択出来ます。私は80KHzを選びました。C2に68pFのコンデンサーを取り付けます。また、トロイダルコアにVFO用のコイルを巻いて取り付けます。VFOのカバー範囲は約92KHzでした。もう少し狭くしてもよさそうです。マニュアルに従ってバンド、受信機、バンドパス・フィルター、周波数の調整をしていきます。受信時の消費電流は約55mAでした。所要時間は約1時間30分。

 

 2003年11月20日

 RF基板、パートU

いよいよ最終段階です。ここでは送信回路の部品を取り付けていきます。またまたコンデンサー、抵抗をひたすらハンダ付けします。後はマニュアル通りに部品を取り付けていきます。終段のトランジスターQ7(2SC1969)を取り付けるヒートシンク代わりのサイドパネル部分には塗装が施されていたのでサンドペーパーで綺麗に磨きました。最後にトロイダル・コアでトランスを巻いて取り付ければRF基板の完成です! 抵抗値の確認も大体マニュアル通りの数値でした。製作時間は約2時間。

 

 2003年11月21日

 調整と試験、パートU & 最終組立て

ここで最後の調整をします。まず最初にマニュアルに指定されたピンの電圧を測定します。全てマニュアル通りの電圧内に収まっていて、まずは一安心。次に7MHz、10MHzでのパワーを調整します。マニュアルには送信出力最大点のフィルター基板のコイルのコア位置は受信感度最大点とほぼ一致すると書かれていますが、L6、L8が少しずれてしまいます。ここは受信感度最大点に合わせておきましたが、5W設定時でのパワーもきっちり5W出ています。(最大では約7W弱でした) 所要時間は約1時間。

トップカバーにスピーカーを取り付けます。ゴム足、シリアルナンバー(#01706)のシールを貼り付けてついにK1の完成です。製作時間は約30分。総製作時間は延べ約17時間でした。(K2は約60時間)

 

 トラブル・シューティング 

時々受信音がとぎれるような現象があったので、どこかが接触不良を起こしているのかとヘッドフォーン・ジャックや部品を指で押えてみたらクリスタル・フィルターの1つ(X2)を押えると現象が再現しました。一度基板から取り外してみたら、わずかなハンダでランドがショートしかけていました。指で押した時にショートしていたようです。ハンダを取り除いてOKとなりました。最小のハンダでのハンダ付けを心がけていましたが量が多すぎたみたいです。

また、VFOのカバー範囲が約92KHzと7、10MHzの2バンド運用ではまだ少し広すぎて同調がクリチカルです。C2の68pFのコンデンサーを47pFに換えてみたところ、カバー範囲が6.099〜7.054MHz、10.093〜10.148MHzと約55KHzになりました。10MHzの上限(10.150MHz)まで少し足りませんが余り使用しない所なのでこのままにしました。51pF位がちょうど良いのかもしれません。これで同調もしやすくなりました。

出力を0.1W(最小)に設定しても0.35W位出ます。0.2W設定で約0.5W、0.5W設定で約1Wと表示と実際の出力に大分食い違いがあります。5W設定時には約5Wとほぼ合っていますが、これはどうにもならないのでしょうか..? せめて0.1W位までは落としたいところです。

 ファースト・インプレッション

早速電源を入れて7MHzをワッチしてみました。AFゲインが不足しているのかと思うくらいセット・ノイズが少なく静かなリグです。K1のオーナー達が絶賛している受信音はというと、評判通りの「澄んだトーン」というのが第一印象でした。K2と聞き比べても確かに微妙に違います。

K2での録音ファイル(MP3、約729KB)(10MHz、フィルターはFL3の0.4KHz)、K1での録音ファイル(MP3、約903KB)、(MP3、約866KB)(10MHz、フィルターはFL2の0.4KHz)です。同じように聞こえるかもしれませんが、実際はK1のトーンの方が綺麗だと思います。そもそも アナログの音をデジタルで聞かせるのには無理があるのでしょうが一応アップしておきます。

 

 チルト・スタンドを自作しました

買うと6,000円もするのでチルト・スタンドを自作しました。材料はどこでも手に入り工作のし易い2mmのアルミ板を使いました。Pカッターで両面に傷を付けて現物合わせで各寸法に切断します。直角に折るところは内側だけに傷を付けます。穴あけ後、黒のつや消しで塗装しました。

K1本体に当たる部分には傷が付かないようにフェルトを貼ります。

と、ここまでは順調だったのですが、K1本体を取り付けるネジ穴はユニファイ細目という特殊な物で、ホームセンターはもちろん近くのネジ専門店にも置いてありませんでした。(最初、普通のmmネジが合わないのは判っていたが、この店にならあるだろうと思って作業を進めていた) ELECRAFTのHPからチルト・スタンドのマニュアルをダウンロードして見てみたら、10−32UNFと書いてありました。

ここでしばらく作業を中断していましたが、サイド・パネルのタップが切ってある出っ張り部の直径が9mmほどあったので、思い切ってタップを6mmに立て直しました。大きな力を加えたら出っ張り部がもげてしまう可能性もあるので、下穴径は5.2mmですが2、3本のドリルを使って少しづつ広げていきました。取り付け用のネジは写真のように6mmのボルトを切断してつまみに取り付けました。なかなかそれなりに出来上がりました。アルミ板やネジ類等は手持ちがあったので製作費は500円ほどでした。(フェルト、ゴム足、スプレー代等)

 

 QRP Mate

大分前に作った、モービル・ハム誌に載っていたQRP運用用のアッテネーター(12Vのリレーを2つ使って10/20db減衰させる物)を久しぶりに出してきたら動きません。製作記事を探してみましたが大分古い号なのか既に破棄してしまったようで見つかりませんでした。でも1996年2月号に「QRPマイト」というアッテネーターの記事を見つけました。ちょうどQRPパワー計が余っていたので作ってみました。75Ω、100Ωの抵抗(1W)で10dbのΠ型アッテネーターを2段組み込んであります。(原本は3段でしたが..) 写真のメーターでは約2Wを指していますから10dbのSWをONにすれば約200mW、もう10dbのSWもONにすれば約20mWの出力になるという物です。K2につなげれば約1mWまで減衰出来ます。