QRPP WAC挑戦編 

 

 SW−20+(50mW以下の出力)でのQRPP WACへの挑戦

SW20+は「Small Wonder Labs」の14MHzのQRP(CW)トランシバー・キットです。組み立ててからしばらくは2Wのパワーで遊んでいましたが意外と簡単にDXと交信出来てしまうので、内部のパワー調整の半固定ボリュームで約50mWにセットしました。(当たり前の事ですが500Wの一万分の一です) 約と言うときちんとした記録に挑戦されている方には眉唾物でしょうが、当方FCZのQRPパワー計しか持っておらず写真の様に14.000MHzで50mW弱に調整しました。SW−20+の周波数可変範囲は14.000〜14.061MHz位までですが、上に行くほどパワーが落ちて来て、14.060MHz付近では約30mWになってしまいます。

5mWでのWACホルダーの方もいらっしゃるので、当面の目標は50mW以下でのWAC完成です。アンテナは約24mHの6エレトライバンダーです。(14MHz-4エレ、21&28MHz-5エレ動作)

2003年5月25日

 

WPXコンテストが行われている。深夜1時過ぎ、ヨーロッパが良く入っている。うるさいのでSW20にイヤフォーンをつないで聞いてみた。AGCが付いて無いので強い信号には驚くが、このように耳をつんざく強力な局をコールしていった。でも全世界相手のWPXコンテストではヨーロッパでもQRMが酷いようでなかなかコールバックが無い。2時頃にUP5Gが強力に聞こえていたのでコールしたら、「JR9?」と返ってきた! 慌ててコールとナンバーを送ってスタンバイしたらコールは取ってくれたが、「NR?」と返ってきて「599001、599001」と繰り返して打ったら何とかコピーしてくれた。UP(UN)はアジアでヨーロッパではないがお隣のウクライナ(UR、ヨーロッパ)まであと少しだ。

 

 

 

耳をつんざくような強い局を探した。たくさん聞こえる。とりあえずOK1RFが強いのでコールをしたがなかなか取ってもらえない。当然1局でも他の誰かが呼んでいたらNGだ。何回コールしただろう..。「JR?」が返ってきた!! ビックラ仰天してコールを3回も打ってしまった。コールは完全にコピーしてくれたがナンバー交換にてこずった。QRMなのだろう「002」がなかなか取ってもらえず何回かのやりとりでどうにかQSO成立となった。WWTESTならナンバーは決まってくるのだが「001〜」のシリアルナンバーはやっかいだ。OK1RFは14.050MHz付近だったので40mW位しか出ていないのだ。30m近い同軸ケーブルを通ってアンテナから発射される電力はいったいどの位までになっているのだろうか? その電波が電離層に反射されながら減衰しウラル山脈を越えてヨーロッパまで飛んで行ったと思うと不思議でならない。その後コンデションも上がって来たのかYZ9A、HG8R、9A4X、T96Q、4L8A、DL4MCF、S53EO、UT7Lと何と9エンティティーも交信出来たのであった!!(T96Q以外は全て40mW位。相変わらずナンバー交換には苦労したが..。皆さんスンマセンでした) これならWACも夢じゃあ無くなってきたゾ!

19:26JST、KH6NDがガンガン入っていたのでコールしたら一発で取ってもらえた。さすがに耳の良いコンテスターだ。これでオセアニアもWKD!(QSO後にFCZのパワー計で測ったら約45mWだった)

19:40JST、HC8Nもガンガン入っている。何回かコールするもNG。HC8は難関と思われる南アメリカだからこれだけ強力なのはめったにないチャンスだ。しかもCQを連発している。14.050MHz付近なのでパワーも30mW位しか出ていないのかもと、蓋を開けて45mWにセットした。(気休めだろうけど..) 何回かコールしていたら「JR9?」と返ってきた!! またまたビックラこいてコールを3回も繰り返した。きっちりとフルコピーしてくれた。さすがにこちらも耳の良いコンテスターだ。北アメリカは時間の問題だろうから、ネックはアフリカになる。以前WWコンテストの時、21MHzの450mWでもアフリカだけが出来なかったから長丁場になるだろう。でもこんなにあっさりと4大陸がクリア出来るとは思ってもみなかった。ひょっとしたらコンデションさえ良ければ50mWでの1-DAY WACさえ可能なのかも..。恐るべし50mWパワー。

6月21日

オールアジアコンテストが行われている。夕方(17時頃)北米がチラホラ聞こえている。しかしWPXのヨーロッパほどは強くない。WN6KがCQを出していたのでコールしてみたら、何と一発で返ってきた!! パワーを測ってみたら60mWほどだ。少しオーバーパワーだったが相手がさほど強くなかっただけにビックラこいた。N6TUもCQを出していたので今度はパワーを45mW位に調整してコールしてみたら、またも一発で「OP?」が返ってきてビックリ! 最初JR9OPOと取られたが最終的には無事にナンバー交換もすんなりいってQSO成立となった。この局もさほど強くはなかったので驚いたが、WWコンテスト等でガンガン入っている北米局なんかは5mW位でも一発で拾ってくれるのかもしれない。やはり間が海(太平洋)なのは良いのか? これで50mWでのWACまでに残すはアフリカ大陸だけとなった。一週間ほど前の早朝に5H3RKが良く入っていたのでコールしたが残念ながら直ぐにQRTしてしまった。この辺が狙い目か..?

6月22日

夕べ寝たのが早かったので朝の4時過ぎに目が覚めた。14MHzを聞いたらEUが良く入っていた。早速SW20にアンテナを切り替えてワッチ。YT7Aがガンガンに入っていたので50mWに調整してコールしたら何と一発でフルコールが返ってきた!! 今朝はコンデションが良いのか!?SP4DEUも非常に強かったのでコールしたら何とこちらも一発で返ってきた!? 不思議に思いパワーを測ってみてもやっぱり45mW位しか出ていない。ナンバーの「599−44」も一発で取ってくれたので試しに今度はパワーを10mWに調整し直して、しばらく間をおいてコールしてみた。何と今度もあっさりと「JR9OPJ QSO B4」と打たれてしまった!

これは今日は5mWでもいけるんじゃないの?と強い局を見つけてはFCZのQRPパワー計で4mW位に調整してはコールした。さすがにもうSP4DEUは呼べないので少しでも強い局を探してはコールしたがSP4DEUほど強い局はなかなか居らず取ってもらえない。周波数が変わるとパワーも変化するのでその度にパワー計をつないでは4〜5mW近辺に調整してコールした。14.040MHzより上の方がQRMも少ないようだったのでワッチを続けていたら14.045MHz付近でHA9SUというハンガリーの局が結構強力なCQを送り込んで来ていた。早速パワーを調整してコール開始。「JR9OPJ/QRP」とあえてQRPを付けてコールしていたら、「QRP?」と返ってきたではないか!! 慌ててコールを3回も送ってしまったが、19:41UTCに無事QSO成立!! 念の為にパワー計で測ったら針は4mWを指していた。このFCZのQRPパワー計の精度がいかほどの物か判らないが、25年以上も無線をやって来て5mW弱の電波が何とヨーロッパにまで飛んで行った歴史的な瞬間に感動していた。25mHにフルアップさせた318Cからは何mWのパワーとなって放射されていたのだろうか? 何とも不思議な気分だ。本当に信じ難い。その後もコンデションが良くなって来てRU4PUUA3TCJRY4JともQSO出来た。その度にパワーを調整してはコールしていたが、信じてもらえるか心配になるほど5mWの電波は間違いなくウラル山脈を越えて彼のヨーロッパの地にまで飛んで行ったのであった。一度スケジュールでも組んで5mWの信号がいったいどの様に聞こえているのか録音してもらいたい気持ちだ。それよりも、もっと精度の高いパワー計は有るのだろうか..?

HA9SU局をコールブックで調べたら緯度、経度が載っていたので大圏距離を計算してみたら約8,692kmだった。仮に誤差を考えて5mW(0.005W)でこの距離と交信したとすれば、1Wに換算したら何と約1,738,400km/W (約1,080,192Mile/W)となるのだ。(ホンマかいな!?) 4mW(0.004W)だとしたら1W換算で約2,173,000km/W!! ちなみに月までの距離は約38万km。

信じられない方は、試しにコンテストで強い局を100mW位にまでパワーを絞ってコールしてみると意外と一発で返ってくる事にビックリされるだろう..。(アンテナはやはり3〜4エレ位は必要となるだろうが)

夕方、例のKH6NDがCQを出している。TS−950SDXのSメーターが+20dB以上振っている。早速SW−20+に切り替えて4mWに調整をしてコールした。CQを連発しているので誰も呼んではいないのだろう。2〜3回コールしていたら、「?」と返ってきた。気合を込めて3回コールを繰り返すと、何と一発でフルコピーしてくれたではないか!! 何という耳だ! でも本当に4mWなのかしら? 次第にこのQRPメーターの信頼性にも疑問が沸いて来るのであった。

6月27日

今使っているFCZのQRPメーターも10年近く使用しており、精度に疑問があったので再校正しようとしたが取り説が見当たらず、しかたが無くもう一台購入してしまった。今度はBNC栓タイプにした。パーツもチップ部品に変わっていた。結局は写真のように約4mWと今までのメーターと同じで買う必要も無かったのだった。

2004年11月28日

今日はWWCWコンテストだ。昨日の朝もちょこっと聞いてみたが余りコンデションは良くないようだ。これまで50mWでのWACはアフリカ大陸を残すのみになっているがこのコンデションでは余り期待出来ない。ましてや5mWでの北米、南米なんて無理だろう。TS−950SDXで聞いてみても中で強い北米局でさえSメーターの赤いLEDが1〜2個点く程度だ。コンデションが良い時には59+20dBの5個点灯(またはそれ以上)なんてザラである。

11:15J、14.017MHzのK7NVが割と強い。(赤いLEDが1個点灯) 余り呼ばれてなくCQを連発している。アンテナは約17mHにして、まずはSW20のパワー調整VRを5mWにセットしてコールしてみた。数回コールするも全くかすりもしないようでCQを繰り返している。10mW、25mWでも同様にNG。30mWの時に一回「?」が返ってきたがその後は同様にNG。一気に50mWにしたがNGだった。

11:25J、14.011MHzのK0RFも赤いLEDが1〜2個点く信号強度だったので10mWからコールするもNG。しかしその後50mWでやっと「JA9OPJ?」と返ってきた! ゆっくりとコールを2回打ったが今度は「JN9OPJ?」になった。プリフィックスの「JR9」だけを3回打ったら「JR9OPJ TU」と返ってきてやっと50mWでQSO出来た。

やはりQRPPはコンデションに一番依存するのが解った。昨年の6月の5mWでヨーロッパと出来たようなコンデションはもう来サイクルまで待たないといけないのかもしれない。50mWのアフリカやましてや5mWでのWACなんて本当にバカコンデションの28MHz位に遭遇しないとダメなのかもしれない。正にライフワーク並のスパンで挑まないといけない領域のようだ。でも面白い!!

2005年5月28日〜30日

 

WPXコンテストが行われている。このページにも書いてあるが一昨年にはこのコンテストで50mW弱の電波で初めてヨーロッパとQSO出来た思い出がある。一昨年に比べるとコンデションは落ちているのだろうが28日から夜中にしばらく写真のSW20とSW40で参加してみた。

 

 

 

 

 

28日の19時30分頃、7MHzで北米が開けている。SW40で聞いてみても良く聞こえる。試しにパワーを1Wにセットして強い局をコールしてみた。NU5AN2ICの2局からコールバックがあった。このKX1もどきSW40では初めてのDX QSOとなった。

日付が替わった29日、14MHzでヨーロッパが開けている。しかし強い局でもTS−950SDXのSメーターで59〜59+10dB位。一昨年に比べると余りコンデションも良くない感じがする。(一昨年は強い局は59+20〜30dB位は振っていたような気がする) とりあえずSW20を50mWにセットして何局かコールするも全くおよびで無い。バンドもかなり混んでいて向こうでもQRMが酷そうだ。一気に500mWまで上げてOM7JGをコールする。すると「JR9OPP」と返って来た。今回は/QRPは付けずにコールしていたが3回コールを打ったら「JR9OPJ」とフルコピーしてもらえた! 今度は100mWにセットして強い局を探した。UA9FMは「JR9ORJ」と返って来たがすぐにフルコピーしてもらえた。でもここはヨーロッパではなくアジア。RK3SWBも強かったがサフィックスは取ってもらえたがプリフィックスがNG。向こうも「VY QRM」と打って来たのでかなり苦しいのだろう、気が引ける...。諦めて次にRU1Aをコール。何と今度は1発でフルコピーしてもらえた!! TS−950SDXで聞いたら59+20dB振っていた。パワーを測ってみたら約20.5dBm(112mW)だった。

またまた日付が替わった30日、昨晩に比べるとコンデションが良い感じ。TS−950SDXで聞いても59+20dBの局も数局いる。早速SW20につなぎ替えてパワーを5mWから徐々に上げていって呼んでみた。何度か強い局(ES5Q、4L8A、UU7J等)をコールするも全くおよびで無い。10mW、20mW、30mWでもNGだった。50mWにセットしてES5Qをコールしたら「R9OPJ」と返って来た。でも次が「JR9OPO」次にやっと「JR9OPJ」とフルコピーしてもらえた。気が引けたが「TU JR9」と打ってくれたので1st JR9だったのかもしれない。パワーを測ってみたら約17.5dBm(56.2mW)だった。4L8A(この局とは一昨年のWPXコンテストでも50mWでQSOしている)も同じように5mWからコールしたがやはり10mW、20mW、30mWでもNGだったが50mWで何とかコールバックがあった。その後UU7Jも同じようにしてコールしてみたが50mWでも応答が無かった。しかし、30mWと50mWでの差はいったいどんなんだろうか? それにしても拾う側にしてみれば迷惑な話ではある...。各局VY TNX & SRI!!

 

2011年7月16日

オークションでクラニシ製ミリワットメーター(WD−2201)を入手した。以前からFCZキットのQRPメーターの信憑性がどんなものかと思っていたので比較してみたが、クラニシのとほぼ同じ結果だった。(写真は共に5mWを測定。FCZはdBm表示なので約7dBm)